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ニュースのコメント欄が正論であふれていて辛い。

ヤフーニュースで、90歳台の女性が
息子を語る男から「会社のお金をつかいこんだから
貸してほしい」と言われて用意した3000万円を
奪われてしまうという事件がありました。

これについて考えたことがあったので書いていきます。

 

なくならない高齢者を狙った詐欺

 

ニュースはこちら。

「息子に渡す」と3000万円用意したら…
「トイレ貸して」と訪問した男に持ち去られる

 

発表では22日午前、女性宅に息子を装った男から「会社の金を使い込んでしまった。3000万円貸してほしい」などと電話があり、昼頃に「会社の税理士の息子」をかたる男が現れた。女性は「息子に渡す」と断ったが、約1時間後、男が「トイレを貸してほしい」と再訪。女性宅に上がり込み、紙袋に入れて廊下に置いてあった現金を持ち去ったという。

南署幹部によると、女性は耳が聞こえづらく、電話の男を息子と思い込んでいたという。後日、本当の息子からの電話で被害に気づき、息子が110番した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b336fd5205c31cac1986a5335a2c97f3bc11ed83より引用

 

 

ニュースに対するコメントは被害者を擁護するものから責任を問うものまで。

 

このニュースに対するコメントは、
被害者に対して同情するものも多かったのですが、

中には被害者の落ち度を責めるものもありました。

 

いつも思うんだけど、「会社の金使いこんだ」って親族に言われたら、
真っ先に「正直に話して処罰されるなり、
逮捕されるなりしなさい」ではないだろうか・・・

ニュースに対するコメントより

 

は?何馬鹿なことしとん?と叱りもせずに、
金を用意する馬鹿な高齢の親がなんと多いこと

ニュースに対するコメントより

 

「馬鹿な高齢の親」とはなんとも辛辣です。
身の回りに清廉潔白な親戚しかいない
幸せな育てられ方をしたのだろうなと思います。

一つ目のコメントは、まさにぐうの音も出ない正論です。

正論。

でも、正論をいうことで得をするのは
いい気分になる自分だけだと思います。

 

詐欺罪は被害者から何を奪っているか。

 

これは私の考えなのですが、
詐欺罪で加害者が被害者から奪っているのは
単なるお金ではないと思っています。

じゃあ何を奪っているかというと、
「自尊心」や「人としての尊厳」だと思います。

 

「自分は悪い奴に騙されないしっかりした自分である」という自尊心、
「親としてのプライド」、
「人としてのプライド」、

これらが、3000万円を騙しとられることで
ごっそりと奪われてしまいます。

 

もちろん将来への安心も奪われて、
それも大きいと思いますが、
何より「自尊心」が奪われていると思います。

 

被害者が一番奪われてダメージが大きいものが
「自尊心」だと思わないから、

外野や、周りの人は
被害者の落ち度を責めたり、
「なんで気をつけなかったの」と言ってしまったりするんだと思います。

 

「死役所」あずみきし 19巻より

 

 

ただでさえ、お金を奪われて自尊心がズタボロなところに
家族などから責められて、
ニュースコメントでは自業自得のように書かれているものもあり、
自分の老いに目を向けさせられ、
自分は生きているだけで迷惑をかけてしまう存在なんだと思ってしまい、
無価値なまま迷惑をかけて生きているのはつらい、
と思ってしまう人もいるのではないかと思います。

 

ということは、

ニュースコメントで、
上から目線で安全なところから
被害者の落ち度についてあれこれ正論を言っている人は
被害者を追い詰めているという点で、
加害者と変わらないのではないかと思います。

 

加害者と変わらないというのは言い過ぎかもしれないですが、
少なくとも、被害者の心情をまったく無視して、
自分がただ正論を言って気持ちよくなりたいからという理由だけでコメントしている
ものすごく身勝手な人だと思います。

 

被害者を責める風潮はなくなってほしい。

 

この事件に限らず、
なにかの事件の被害者は被害者であるというだけで
ものすごく傷ついているし、
自尊心はボロボロだし、弱っています。

だから、絶対に「被害者にも落ち度がある」
という風ないい方はしてはいけないと思うし、
どんなときでも悪いのは加害者で、被害者は悪くないです。

 

もちろん再発防止は重要ですが、
「被害者に落ち度があるから事件が起きる」
という考え方はダメだし、
私自身も発言には十分に気を付けていこうと思いました。

 

 

読んでいただいてありがとうございます。